2007年06月25日
TrackPoint未対応のプログラムでスクロール
ThinkPadのアイデンティティのひとつであるTrackPoint。
IBM時代に、アメリカ航空宇宙局(NASA)から、「無重力状態でも安定して操作が出来るポインティングデバイスを」という要望を受けて開発されたものです。
現在のThinkPadに搭載されているTrackPointは、スクロール(センター)ボタンの付いた第4世代(TrackPoint IV)です。
このTrackPoint IVに搭載されているスクロールボタンを押しても画面がスクロールしないアプリケーションが意外とあります。そのアプリケーションがマウスホイールに対応しているにもかかわらずです。
理由は簡単で、TrackPoint IVのスクロールが独自のプログラムとテキストによる設定ファイルに支えられているからです。TrackPoint IVのスクロールの設定ファイルがテキストであるということは、メモ帳に代表されるテキストエディタを利用すれば、未対応のアプリケーションでもスクロールが出来るようになる可能性がある、とも言えます。
実は、「Opera TrackPoint スクロール」あたりのキーワードでググると、結構その手のTipsが溢れてはいるのですが、今のTrackPointドライバは、Operaでも標準でスクロール出来るようになっています。それに合わせて、Opera以外でも使えるようなわかりやすいTipsを書こうと思い立った次第です。
今回は、iTunesとSafariのスクロールを可能にする例を挙げますが、その他のスクロール出来ないアプリでも応用可能です。
IBM時代に、アメリカ航空宇宙局(NASA)から、「無重力状態でも安定して操作が出来るポインティングデバイスを」という要望を受けて開発されたものです。
現在のThinkPadに搭載されているTrackPointは、スクロール(センター)ボタンの付いた第4世代(TrackPoint IV)です。
このTrackPoint IVに搭載されているスクロールボタンを押しても画面がスクロールしないアプリケーションが意外とあります。そのアプリケーションがマウスホイールに対応しているにもかかわらずです。
理由は簡単で、TrackPoint IVのスクロールが独自のプログラムとテキストによる設定ファイルに支えられているからです。TrackPoint IVのスクロールの設定ファイルがテキストであるということは、メモ帳に代表されるテキストエディタを利用すれば、未対応のアプリケーションでもスクロールが出来るようになる可能性がある、とも言えます。
実は、「Opera TrackPoint スクロール」あたりのキーワードでググると、結構その手のTipsが溢れてはいるのですが、今のTrackPointドライバは、Operaでも標準でスクロール出来るようになっています。それに合わせて、Opera以外でも使えるようなわかりやすいTipsを書こうと思い立った次第です。
今回は、iTunesとSafariのスクロールを可能にする例を挙げますが、その他のスクロール出来ないアプリでも応用可能です。
1. 設定ファイルの位置を確認する。
TrackPointの設定ファイルは、tp4table.datという名前のテキストファイルです。TrackPointのみ搭載するThinkPadと、UltraNav(ウルトラナビ : TrackPoint + タッチパッド)搭載のThinkPadとでは、このファイルの格納位置が異なります。それぞれ、次のフォルダに存在しているはずです。
・TrackPointのみ → %SystemRoot%\system32\
・UltraNav付き → (Windowsブートドライブ)\Program Files\Sympatics\SymTP\
%SystemRoot%とは、Windowsのインストール先を示す環境変数(因数)です。「ファイル名を指定して実行」で、この%SystemRoot%という文字列を入力すれば、Windowsのインストールフォルダが表示されるはずです。標準設定では、Windows 2000 → C:\WINNTに、Windows XP/Vista → C:\Windowsになっています。
2. 編集する
tp4table.datは拡張子が.txtではありませんが、中身は普通のテキストファイルです。よって、手持ちのテキストエディタで編集することが出来ます。Windows標準のメモ帳なり、秀丸なり、TeraPadなり、お使いのテキストエディタを使って、tp4table.datを開いてください。
[開きましょう!!(Click to enlarge)]
但し、ユーザーアカウント制御(UAC)が有効なWindows Vistaをお使いの方には注意点があります。
UACは、管理者権限を与えていないアプリケーションに対して、%SystemRoot%設定フォルダやProgram Filesフォルダなど、アプリケーションやシステムのコアがあるフォルダに対する書込み操作をブロックしてしまいます。
そのため、UACが有効なWindows Vistaにおいては、利用するテキストエディタを管理者権限で実行する必要があります。スタートメニュー等にあるお使いのテキストエディタのショートカットを右クリックして、「管理者として実行」を選びましょう。そうすれば、先述の書き込みブロック対象フォルダにも書き込みが出来るようになります。
[管理者として実行しましょう(Click to enlarge)]
で、お使いのテキストエディタでtp4table.datを開くと、冒頭に編集上のルールが書いてあり、その後に、"Pass 0 rules"と"Pass 1 rules"という2つのセクションがあります。編集上のルールを読めば、色々とカスタマイズできそうな予感がしますが、あれこれ考えるのもどうかと思ったりもするので、Pass 0 rulesのセクションを早速編集します。
一番簡単なのは、Pass 0 rulesの一番最後にある、Opera Web BrowserやGoogle Picasa用の設定行をコピーして、それを即貼り付けて、編集する事です。この設定を適用すると、マウスホイール対応のアプリケーションにおいて縦スクロールが可能になります。
設定をコピー・貼り付け・編集した後のイメージが、下のキャプチャ画像です。セミコロンは、コメントアウト行なので、どのアプリケーション用の設定なのかを書いておくと便利です。その直下の*.exe(実行ファイル用拡張子)で終わっているファイル名を、スクロールさせたいアプリケーションの実行ファイル名にしてあげるだけです。
[こんな感じで付け加えましょう(Click to enlarge)]
変更した後は、上書き保存してテキストエディタを閉じます。
3. TrackPointサービスを再起動させる
一般的には、編集完了後にWindowsごとTrackPointサービスを再起動させるのですが、そんな時間は無い、と言う方のために、TrackPointサービスだけを再起動させる方法をご紹介します。
まず、タスクバーを右クリックして、「タスクマネージャ」を起動させます。
[タスクマネージャを選んで起動(Click to enlarge)]
次に、起動したタスクマネージャの「プロセス」タブを開いて、その中にある"tp4serv.exe"を強制終了させます。"tp4service.exe"の表示をクリックした後、「プロセスの終了」ボタンをマウスでクリックするか、Alt + Eキーを押します。その後現れるダイアログボックスで「はい」をクリックするかYキーを押すと、TrackPointサービスが強制終了します。
[強制終了しましょう(Click to enlarge)]
そして、スタートメニューからか、Windows + Rキーで「ファイル名を指定して実行」ダイアログを出して(※)、"tp4serv"と入力してEnterキーを押すと、TrackPointサービスが再起動します。
[サービスを再起動しましょう]
4. 確認する
1.から3.までの手順が終了したら、追加したアプリケーションでTrackPointのスクロールボタンを使ってスクロールが出来るかどうか確認してください。スクロールできれば、追加成功です。出来なかった場合は、もう一度tp4table.datの記述を確認してください。
※Windows Vistaの標準のスタートメニューでは、「ファイル名を指定して実行」が出て来ません。タスクバーを右クリックして「タスクバーと[スタート]メニューのプロパティ」で設定変更してください。
(6/26深夜 リンク切れ画像をアップして、正常に表示できるようにしました。)
TrackPointの設定ファイルは、tp4table.datという名前のテキストファイルです。TrackPointのみ搭載するThinkPadと、UltraNav(ウルトラナビ : TrackPoint + タッチパッド)搭載のThinkPadとでは、このファイルの格納位置が異なります。それぞれ、次のフォルダに存在しているはずです。
・TrackPointのみ → %SystemRoot%\system32\
・UltraNav付き → (Windowsブートドライブ)\Program Files\Sympatics\SymTP\
%SystemRoot%とは、Windowsのインストール先を示す環境変数(因数)です。「ファイル名を指定して実行」で、この%SystemRoot%という文字列を入力すれば、Windowsのインストールフォルダが表示されるはずです。標準設定では、Windows 2000 → C:\WINNTに、Windows XP/Vista → C:\Windowsになっています。
2. 編集する
tp4table.datは拡張子が.txtではありませんが、中身は普通のテキストファイルです。よって、手持ちのテキストエディタで編集することが出来ます。Windows標準のメモ帳なり、秀丸なり、TeraPadなり、お使いのテキストエディタを使って、tp4table.datを開いてください。
[開きましょう!!(Click to enlarge)]
但し、ユーザーアカウント制御(UAC)が有効なWindows Vistaをお使いの方には注意点があります。
UACは、管理者権限を与えていないアプリケーションに対して、%SystemRoot%設定フォルダやProgram Filesフォルダなど、アプリケーションやシステムのコアがあるフォルダに対する書込み操作をブロックしてしまいます。
そのため、UACが有効なWindows Vistaにおいては、利用するテキストエディタを管理者権限で実行する必要があります。スタートメニュー等にあるお使いのテキストエディタのショートカットを右クリックして、「管理者として実行」を選びましょう。そうすれば、先述の書き込みブロック対象フォルダにも書き込みが出来るようになります。
[管理者として実行しましょう(Click to enlarge)]
で、お使いのテキストエディタでtp4table.datを開くと、冒頭に編集上のルールが書いてあり、その後に、"Pass 0 rules"と"Pass 1 rules"という2つのセクションがあります。編集上のルールを読めば、色々とカスタマイズできそうな予感がしますが、あれこれ考えるのもどうかと思ったりもするので、Pass 0 rulesのセクションを早速編集します。
一番簡単なのは、Pass 0 rulesの一番最後にある、Opera Web BrowserやGoogle Picasa用の設定行をコピーして、それを即貼り付けて、編集する事です。この設定を適用すると、マウスホイール対応のアプリケーションにおいて縦スクロールが可能になります。
設定をコピー・貼り付け・編集した後のイメージが、下のキャプチャ画像です。セミコロンは、コメントアウト行なので、どのアプリケーション用の設定なのかを書いておくと便利です。その直下の*.exe(実行ファイル用拡張子)で終わっているファイル名を、スクロールさせたいアプリケーションの実行ファイル名にしてあげるだけです。
[こんな感じで付け加えましょう(Click to enlarge)]
変更した後は、上書き保存してテキストエディタを閉じます。
3. TrackPointサービスを再起動させる
一般的には、編集完了後にWindowsごとTrackPointサービスを再起動させるのですが、そんな時間は無い、と言う方のために、TrackPointサービスだけを再起動させる方法をご紹介します。
まず、タスクバーを右クリックして、「タスクマネージャ」を起動させます。
[タスクマネージャを選んで起動(Click to enlarge)]
次に、起動したタスクマネージャの「プロセス」タブを開いて、その中にある"tp4serv.exe"を強制終了させます。"tp4service.exe"の表示をクリックした後、「プロセスの終了」ボタンをマウスでクリックするか、Alt + Eキーを押します。その後現れるダイアログボックスで「はい」をクリックするかYキーを押すと、TrackPointサービスが強制終了します。
[強制終了しましょう(Click to enlarge)]
そして、スタートメニューからか、Windows + Rキーで「ファイル名を指定して実行」ダイアログを出して(※)、"tp4serv"と入力してEnterキーを押すと、TrackPointサービスが再起動します。
[サービスを再起動しましょう]
4. 確認する
1.から3.までの手順が終了したら、追加したアプリケーションでTrackPointのスクロールボタンを使ってスクロールが出来るかどうか確認してください。スクロールできれば、追加成功です。出来なかった場合は、もう一度tp4table.datの記述を確認してください。
※Windows Vistaの標準のスタートメニューでは、「ファイル名を指定して実行」が出て来ません。タスクバーを右クリックして「タスクバーと[スタート]メニューのプロパティ」で設定変更してください。
(6/26深夜 リンク切れ画像をアップして、正常に表示できるようにしました。)
IBMのPC事業がLenovoに譲渡されてまる10年。
世界レベルでレア!? 中国で「銀色」のThinkPad Yoga 14(S3)を発見…!?
ThinkPad用のコンパクトなACアダプターが「ひっそり」登場。
ThinkPad X1 Carbon用ACアダプターを買うつもりが"OneLink Dock"を購入した件。
「ThinkPad X1 Carbon プレミアムケース」がなかなか買えなかった結果。
Windows 8/8.1プリインストールパソコンにおけるリカバリーメディアの作り方
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Windows 8/8.1プリインストールパソコンにおけるリカバリーメディアの作り方
Posted by せう at 23:20│Comments(5)
│ThinkPad
この記事へのトラックバック
トラックポイント好き。
以前のエントリで触れたが、dara-jはThinkPad X22を使っているので、いきおいポインティングデバイスはトラックポイントになる。
センターボタンによるスク
TP4TABLE.DAT【dara-j】at 2007年06月26日 01:22
TrackPointは大変便利なポインティングデバイス。 センターボタンを押しな
SafariをTrackPointでスクロール【metatako】at 2008年03月22日 23:31
愛用している thinkpad x300 のトラックポイント(正確には Ultra Naviか)と safari の相性がよくありません。 要は、safari の画面スクロールにトラックポイント+中ボタンを使いたいのですが、...
x300 と safari と トラックポイント【日々これ楽しく snow blog】at 2008年05月25日 04:45
ご無沙汰になりました。ネタは腐るほどあるので一気に吐いてみようUltraNaviを購入したけど、スクロールに対応してないアプリがありガッカリ面...
TrackPoint未対応アプリをスクロールさせてみる【sakur@】at 2008年09月24日 02:49
TrackPoint未対応のプログラムでスクロール
トラックポイントのためにIBMのノート(G40)を使ってる俺ですが、こんなことが出来るとは…恥ずかし...
トラックポイントでのスクロール【オロチノエロゲパッケージ】at 2008年12月01日 19:48
この記事へのコメント
初カキコです。
記事中、"Page 0 rules"とあるのですが、"Pass 0 rules"の間違い!?
自分のX40は"Pass 0 rules"です(^^;
Posted by kenn at 2007年07月08日 17:21
>kennさん
はじめまして!!
自分も今確認しましたが、激しく誤植でした。
訂正させていただきました。ご指摘ありがとうございます。
Posted by せう@出先 at 2007年07月08日 19:04
せうさん
これでサファリをバリバリ使うことができます。感謝です。
Posted by プー作 at 2008年03月22日 09:51
覚書代わりにコメントさせていただきます
- Trackpoint ドライバ 4.63 (非UltraNav)を vista に入れたところ、設定ファイルの場所が \Program files\Lenovo\TrackPoint になっていました。
- UltraNav機ではtp4servがなくて、代わりにSynTPEnhを立ち上げなおすと設定ファイルが読み込まれます。
- Adobe Lightroom は WheelStd では駄目で、WheelVkey ならいけました。
Posted by よし at 2008年04月03日 01:48
>プー作さん
超亀レスですが、どういたしまして。
これは、ホイールAPIに対応しているアプリだったら、基本的には応用が利きます。
>よしさん
有難うございます。助かります。
Posted by せう@デジもの好き at 2008年04月04日 09:45
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