2007年05月24日

IP over 1394(FireWire)でorz...

それは、Start Mac体験モニター記事として、IP over 1394(FireWire)の事を書こうと思った時でした。

IP over 1394とは、パソコンのIEEE1394(FireWire)端子同士を直結して、TCP/IPベースのLANを構築できる規格で、Windowsでは「『似非OS』究極版(Me)」とXPで、MacOS Xであれば、10.3以降で(もちろん10.4も)対応しています。

あまりWindowsとMacOS間でこの機能を試しているサイトが見当たらないので、やってみようと思い立ったのです。

ところが、どうやっても、ThinkPad側でMacBookを認識してくれません。

なんかおかしい、と思い、ググってみたところ、Windows Vistaでは、IP over 1394のサポートがカットされたということを知りましたorz...

久々に非常に悲しい気分になってしまったので、ここで、PC Tipsとして、Windows XPからWindows Vistaになる際にカットされた機能を一部ご紹介。

・16ビットアプリ(Windows On Windows : WOW)サポート[32bit版のみ]
Windows NT系OSでは、Windows 3.x向けアプリや、MS-DOSアプリをサポートするためにWindows On Windows(WOW)というエミュレーション機能を搭載しています。このWOWのおかげで少々古臭いアプリでも、システムに直接働きかけるようなものでない限り、ある程度動作できました。

ところが、Windows VistaではWOWサポートが打ち切られました。つまり、Windows 3.x向けアプリやMS-DOSアプリは動作しないのです。

これで痛い目に会う人は少ないと思われます。なぜならVMwareやVirtual PCなどの仮想マシン(VM)でどうにかできるからです。

なお、64bit版のWindows XPやWindows Vistaでは、WOW自体最初からありません。その代わり、ではありませんが、世の中の大半を占めている32bitアプリのためのWOW32が搭載されています。

・IP over 1394(FireWire)のサポート
これが今回痛かった機能削除...

IEEE1394には、USBのような「ホスト」「ゲスト」の関係が事実上ありません。言い換えれば、IEEE1394端子をもつ機器同士はすべて平等な関係なのです。

その利点を活用したのが、このエントリの冒頭で述べたIP over 1394だったのです。

ところが、Microsoftは、「IP over 1394に対するユーザーの需要は低い」として、Windows Server 2003を最後にIP over 1394のサポートを打ち切ってしまったのです...

確かに、手軽なデータ移行方法としてUSB接続のデータリンクケーブルが普及しており、Windows Vistaでは新たにこの手のケーブルが正式サポートされたはされたのですが、同様の使い方を実現できたIP over 1394の機能カットは非常に痛い... VMではどうにもなりませんから...

・一部のハードウェアアクセラレーション
Windows Vistaは、内部名が"Windows NT 6.0"であることからも分かる通り、メジャーバージョンアップであり、OSの構造そのものも大幅に変化しています。その割に互換性も確保出来ている点は素晴らしいことです。

ただ、この構造変化により、一部でハードウェアの補助による実行速度向上ができなくなりました。代表的なものとしては、デスクトップの描画に使うGDI/GDI+サウンドの再生に使うDirectSound/DirectSound 3Dが挙げられます。

なお、これらのハードウェアアクセラレーションが使えなくなったものについては、代替技術が採用されている(Windows Aeroなど)ので、これからのアプリケーションは、それを利用するように開発すれば良いだけの話です。

・FAT32ボリュームでの稼働
これも時間の問題ではあると思っていましたが、MS-DOSのファイルシステム(FAT)の究極進化版である、FAT32でフォーマットされたディスクからの起動ができなくなりました

Windows XPをFAT32のディスクで運用すればわかりますが、NTFS(Windows NT File System)で稼働している場合に比べて、パフォーマンスやセキュリティの面で大幅に劣ります。切り捨てられて当然と言えば当然です。

FAT32ボリュームにあるWindows XPからWindows Vistaへアップグレードするには、事前にフォーマットの変換(Convertコマンドの実行)が必要です。

なお、今までのFAT(12/16/32)ボリュームのマウント・読み書きはVistaでも普通に行えます

・一部のレガシーデバイスのサポート
レガシーデバイス(過去のデバイス)の一部もサポートされなくなりました。ゲームコントローラーポート・EISAバス・ISAバスのPlug And Playなどが代表的です。なお、ISAバスそのものは、キーボードなどの絡みでサポート続行です。

・一部通信プロトコルのサポート
Gopherプロトコル(これを知っていたら、インターネットについて相当詳しいと思われます)や、IPXプロトコルなどのサポートがなくなりました。

・Services for Macintosh
最後にStart Macモニターらしいものが(爆)。

MacOSでは、伝統的にLAN通信にAppleTalkという独自のプロトコルを使って来ました。MacOS Xになってからは、TCP/IPを使った通信が基本になったので、あまり使われなくなりました。

Windows NT系OSで、ソフトライセンス上サーバーになれるもの(Windows 2000 ProfessionalやWindows XP Professionalも該当)に対して"Services for Macintosh"というAppleTalkを使ったサーバーになれる機能を付与していました。

しかし、Windows 2000以降は、プリンタサーバー機能だけとなり、遂にVistaで廃止されることになりました。

この他にも、削除された機能はたくさんありますが、実利用で影響しそうなものを中心にまとめてみました。

最後に。

MacとWindows機と手軽なネットワーク共有を試みようとした方。どなたかIP over 1394を試してください...


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Posted by せう at 15:58│Comments(0)PC Tips
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